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脳が機能を失ってゆくプロセス

人間の脳は未だに解明されていない機能が多くありますが、医学の進歩によって脳の機能や謎が少しずつ紐解かれています。

Sleeping

心臓は動いていながら脳が機能を停止する場合、人体は特別なプロセスを経て死に至ります。神経学者たちはこのプロセスを大まかに5つに分けています。ヒトの脳細胞が死んでいくとき体には何が起こるのでしょう。

1. 酸素不足

酸素が不足してくると、大脳新皮質と脳の伝達神経が機能を停止します。これは一種の体の保護メカニズムだと言われています。体内への酸素供給が10秒間滞るだけでも、体はこの保護メカニズムを発動し、体内の重要な生命維持機能を守ろうとします。これにより、気を失った状態、意識のない状態に陥ります。酸素が引き続き不足すると、脳の他のエリアも機能を停止していきます。

 
 
 
 
 
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2. ロックドイン症候群(閉じ込め症候群)

この状態では意識は戻っていますが、脳幹の一部が損傷を受けているので、瞬き以外、体を動かすことができません。この状態になると、目は開いており意識もあるので周りの状況は理解していても一切意思を表すことができないためLocked-in(閉じ込め)症候群と呼ばれています。

3. 持続的意識障害(植物状態)

脳に激しい損傷を受けたものの、生命維持に必要な脳幹が生きている場合、人工呼吸器などを使わなくても自発的に呼吸でき、飲み込むこともできる植物状態になります。この場合脳が後半に損傷しているので、患者にどれほど認識能力があるのかは明らかになっていません。

UFV Nursing Simulation (32)

4. 昏睡状態

植物状態の患者は刺激に反応しますが、痛みの刺激にも全く反応しない場合が昏睡です。昏睡患者はほとんどの場合、生命維持装置を使って生きています。

Bella Bella Hospital 4

5. 脳死

脳幹を含めた脳すべての機能が低下し、回復不能と認められた状態です。深い昏睡状態で、瞳孔が4mm以上開き、脳幹反射が消失して反射作用や生命維持に必要な機能が失われていることなどが判定の基準となります。

脳機能が完全に消失した状態では、生命維持装置に完全に依存し、循環機能の停止も時間の問題であると考えられています。しかし、脳死の後も心臓が動き続ける場合もあり、何をもって人の死と認めるかは現在も議論されています。

The Mourning Statue

脳死を除いては、医療の進歩によりどの段階でも治療は可能とされています。例えば15年間植物状態だった男性が、治療により意識を取り戻したという例も報告されています。また閉じ込め症候群でも治療により回復事例もあり、早期の積極的治療の必要性が強調されています。

プレビュー画像:©︎flickr/Rowan Saunders, ©︎Instragram/neurologicalsurgeon