トリビア
痴漢・性犯罪者の共通点
現在フランスに住む佐々木くみさんは、わずか12歳の頃から高校卒業までの6年間、毎日のように都心の電車の中で痴漢の被害に遭い続けました。その自身のトラウマ的な経験を元にフランスで2017年秋に小説を出版し、フランス国内で大きな話題となりました。
“Le #tchikan se sent chanceux d’avoir pu toucher la main d’une femme. Et c’est le début, pour certains, de toute une série d’agressions. Ils s’attaquent surtout aux plus jeunes, plus fragiles, plus vulnérables”. #NeRienLaisserPasser https://t.co/ffs89Ju8yW pic.twitter.com/nsfzfkIuy3
— Jean François Porchez (@jfporchez)ƒ 25 November 2017
痴漢はモラルの問題では済まない
佐々木さんの小説『TCHIKAN』の中では、主人公のクミは毎日繰り返し痴漢行為に遭い、トラウマから自傷行為を繰り返し自殺さえ試みます。警視庁が公表する痴漢検挙件数は2014年3439件でしたが、実態の10分の1とも言われています。そして被害者の約20%は10代の子供達。あまりに多くの子供達が日常生活で犯罪被害に遭い、生涯のトラウマを負っていることは間違いないでしょう。
「痴漢は、日本人の大部分が思っているほど軽いことではありません。それによって被害者がどれだけ深い傷を負うか、私はこの本の出版を通じて伝えたいと思いました」佐々木さんは語ります。
電車で座っていたら、隣に座った背広姿の男性が腕組みをして、上腕の下に隠れる方の指先で胸を触ってきたこともありました。本当に彼らは驚くような方法で、ありとあらゆる状況で痴漢行為をしてきます。そしてごく「普通」の人ばかり。いざ行為を始めるまで、見た目からは全くわかりません。 https://t.co/3yp2SAFl9x
— Kumi Sasaki (@KumiS_TCHIKAN) 29 January 2018
女性は「ぬいぐるみのような存在」
「これぐらいなんてことない」倒錯した認識
痴漢などの加害者は、被害者も喜んでいる、これぐらいなんてことない、といった倒錯した認識を持っている場合が多くあります。「生き物ではなく、どんなことをしてもいい、意思のないぬいぐるみのような」存在だと思っていたと語る加害者もいます。この倒錯した認識は、「治療」しなければ治らないことがほとんどです。性加害者の治療を実施する性障害専門医療センターSOMECによれば、加害者にはいくつかの心理的クセがあるそうです。
1. 痴漢されると女性は喜ぶ。
2. 盗撮しても相手が気づいていなければ、犯罪ではない。誰も肉体的に傷つけていない。
3. 他の性犯罪(レイプなど)に比べれば、自分のやっていることは犯罪ではないし、大したことない。
4. 嫌がられたらやめるから、嫌がる人にはしていない。嫌がらない人にはしても良い。
こうした倒錯した考え方をしている人は、明らかに治療が必要でしょう。この考え方のクセに、患者自身が気づいていく必要があります。
5. また、性犯罪者たちは何らかの理由からパートナーなど同年代以上の女性全般に対して「怖い」と言う感情を持つ傾向があるそうです。それで加害者自身が恐怖心を感じにくい子供や若い女性がターゲットになることが多いと指摘されています。
痴漢犯人の多くは依存から犯罪行為を続けている場合が多いと言われますが、「もうやめたい」と感じている人も多くいます。ある20代後半の男性患者 は、治療カウンセリングを通じ、被害者へ自分がどんな影響を与えていたのか理解できるようになったそうです。「悪いことだとわかっているし、痴漢行為をしても特に満足感もないのに、続けてしまう。いっそのこと、病名があるなら診断されたいと思った」と言います。
性犯罪者を刑務所に入れても必ず戻ってきます。また逮捕されても示談金を支払うだけと言う場合も多くあります。再犯率の高い痴漢などの性犯罪。けっして許されることではありません。性犯罪者予備軍や常習者たちがより早く治療に辿り着ける仕組みを設けることで、痴漢被害者、そして冤罪被害者を生まないための一つの手段となると言えるのではないでしょうか。
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