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高プロテイン生活が招いた悲劇
今、日本は空前の筋肉ブーム。これまではアスリートやボディビルダーご用達だったプロテイン製品ですが、筋肉ブームと共により多くの人が手にすようになっています。また筋肉をつけるためだけでなく、美容やダイエット、栄養バランスを補うなどの目的でプロテインパウダーやプロテイン配合食品を食べる人も増えています。
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最近ではプロテイン配合のヨーグルトや、プロテインシェイクやお菓子などがコンビニやスーパーなどて手に入るようになっていますが、気になるのがプロテインの過剰摂取です。
普段の食生活にプロテインを摂り入れる程度なら、問題はないでしょう。ただアスリートやボディビルディングに励む人は特に、筋肉量を増量させるために体内で分解される以上にタンパク質を摂取しなければなりません。ところが、これは危険な結果を招く恐れがあります。
25歳のミーガン・へフォードは5年前から日常的にジムに通って真剣に体づくりに取り組んでいました。ジム通いを始めて数ヶ月後にはボディビル競技大会に出場するまでのムキムキボディに変身したミーガンは、もちろん食生活もたんぱく質中心に大きく変えました。
ジムでの運動後にプロテインを飲み、食事も卵やお肉、乳製品をたっぷり摂るように。2人の子供を育てながら病院でパートとして働き、大学にも通うという忙しい日々の時間を縫って、体作りに励んでいました。
「家の中にはプロテイン製品が詰まった段ボール箱が5、6箱いつも積まれていました」ミーガンの母は言います。やりすぎじゃないの？という母親の再三の忠告を無視し、トレーニングと高プロテインの食生活を続けたミーガンは、2017年7月19日意識を失って倒れているところを発見されます。
病院に担ぎ込まれたものの、医師たちは原因を特定できぬままミーガンは帰らぬ人となってしまいます。2日後、判明した死因は「尿素回路異常」と「プロテインの多量摂取」でした。死の1ヶ月前からミーガンは、体の倦怠感や吐き気などを訴え、何かがおかしいと言っていましたが診察は受けませんでした。
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ミーガンの死因となった尿素回路異常症とは、血中からアンモニアを除去する酵素が不足している異常症で、アンモニアが血中にたまりやすい遺伝性の珍しい病気です。重い症状が出るまで何年もかかる人もいるそうで、「尿素回路異常症でも、日々健康に暮らすのには十分な尿素回路機能がある人はいます」と先天性代謝異常を研究するニコラス・アミュー博士は言います。「ですが病気や怪我、大量のプロテイン摂取などが引き金となって、尿素回路のアンモニア除去能力を超過してしまうのです」
ミーガンの場合も、先天的な尿素回路異常症が大量のプロテイン摂取で悪化したと言えるでしょう。
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尿素回路異常症の発症頻度は8,000〜44,000人に一人と言われています。この病気の症状は、体のだるさ、哺乳力低下、多呼吸、吐き気、嘔吐、意識障害、けいれんなどで、血液検査でアンモニア濃度の計測を行わなければ病気の特定には結びつきません。
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成人まで病気の診断がなされないミーガンのようなケースでは、高たんぱく質の食事を摂ることで急激な高アンモニア血しょうや急性肝不全を発症し、昏睡状態になることもあります。
毎食のようにプロテインシェイクを飲んでいるという人は特に、吐き気や偏頭痛、気分不安定、慢性的な倦怠感などの症状に当てはまらないか最近の体調を思い返してみた方が良さそうです。
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2人の子供を残しこの世をさったミーガン。健康的に美しくなりたいと摂取していたプロテインが引き金となり、悲劇を招いてしまいました。ミーガンの母親は彼女の死が警鐘となり、ひとりでも多くの人が病気に気づくことを願い娘の死の経緯を公表しています。ミーガンのご冥福をお祈りします。
