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意外と思い込みにすぎない衛生観念10

殺菌・抗菌・除菌効果のあるといわれる衛生用品や掃除用品を使い、いつも清潔にしてマスクをつけて出勤しているのに風邪をひいてしまう…「清潔で衛生的な生活習慣」は単なる思い込みにすぎないかもしれません。みてみましょう!

1. 神話「殺菌すれば衛生的」

日常的な殺菌剤などの消毒薬の使用は人体に良い影響をもたらさないことがわかっています。ドイツの政府機関、連邦リスク評価研究所は「消毒薬は病院でのみ使用するべきであって、家庭では使用するべきではない」との声明を出しているほど。消毒薬は環境を汚染するだけでなく、耐性のある病原菌蔓延の可能性を高め、皮膚を健康に保つ常在菌を殺し、雑菌やウイルスなどへの抵抗を弱めているのです。

人間にとって、雑菌がほどよくいる状態が通常なので、雑菌のいない環境を作るのは病気のリスクを高めてしまいます。家はこまめに掃除をし、帰宅した時などの手洗いを確実にする方が清潔で健康的な暮らしができるでしょう。

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2. 神話「落としてから3秒以内なら食べられる」

定期的に掃除している床なら、落ちたものを食べても具合が悪くなる確率はとても低く、床に触れた時間が3秒だろうが10分だろうがあまり変わりはありません。

さらに、床をハイハイする赤ちゃんが床に落ちた食べ物や物体を口に入れたとしても、それほど心配する必要はありません。現在では、生後数年間に雑菌に接触することで正常な免疫システムが構築されると考えられています。

もちろんおしゃぶりなど赤ちゃんが口に入れるものは、毎日65℃以上のお湯で洗わなければなりません。おしゃぶりなどを殺菌する必要はありませんが、隙間に詰まったミルクや食べ物の残りカスをしっかり取り除いてあげましょう。雑菌自体よりもミルクや食べ物の残りカスの方が危険です。

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3. 神話「ハンドドライヤーはペーパータオルよりも清潔」

ここ数年、ハンドドライヤーはトイレのいたるところに細菌をばらまいているという研究結果が明らかになっています。ハンドドライヤーの中は温かく湿っていて、雑菌が増殖するのにもってこいの環境。しかもハンドドライヤー内部で増殖した細菌は、温風とともに洗ったばかりの手に付着し、さらにトイレ中に飛び散るのです。

The Dyson Airblade

4. 神話「お湯で洗った方が清潔」

一般的な掃除用洗剤は水で洗うことを想定されて作られています。お湯と混ぜると、洗浄効果を失ってしまうものもあるのです。特に除菌に優れた効果を発揮するアルコール系の洗浄剤は、お湯で蒸発してしまいます。

5. 神話「石鹸は殺菌してくれる」

石鹸は雑菌を殺すことはありませんが、完全に洗い流してくれます。液体石鹸で30秒手洗いすれば、手に付着した雑菌の99.9%が洗い流されることがわかっています。

pixabay

6. 神話「女性のデリケートゾーンはよく洗うべき」

女性の外性器は弱酸性ボディソープなどで洗浄すれば十分汚れは落ちます。しかし、膣内まできれいにしたいと専用洗剤などを使って洗うと、雑菌の侵入を防いでいる乳酸菌などを殺してしまい、膣の自浄作用を低下させ、カビや雑菌がはびこる原因となりかねません。悪臭やおりものの原因になったり、感染症にかかりやすくなることがあるので自己流の膣内洗浄はやめておきましょう。

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7. 神話「凍らせれば雑菌も死ぬ」

ジーンズ会社のリーバイスが昔、ビンテージ感を出すにはジーンズは洗わず、臭ってきたら冷凍庫に入れればいいというプロモーションをしましたが、衛生的にはまったくのナンセンス。雑菌やウイルスなどは−18℃で冬眠モードに入ります。でも温度が元にもどれば、春を待ちわびた生き物のように再び増殖を始めます。

8. 神話「キッチン用品はプラスチックの方が木製のものよりも安全」

木のまな板とプラスチック製のまな板では衛生的にはほとんど差はありません。それぞれ表面の最近数を調べたらところ、ほとんど違いがなかったという研究もあります。大切なのは、木製、プラスチック製どちらもこまめな洗浄と、肉・魚類と生で食べる野菜類用のまな板の使い分けです。そして毎日必ず風通しの良いところで乾燥させて、殺菌の増殖リスクを減らしましょう。

Kyocera Ceramic Peelers on Epicurean Recycled Plastic Cutting Board

9. 神話「ペットは免疫システムを強化してくれる」

ペットは家族の一員。抱っこしたり、顔を舐められるのも抵抗ないという人がほとんどでしょう。きれいにしすぎは免疫システムを弱体化させてしまうというなら、ペットとの生活は問題ないはず!でも実際は、それほど単純ではないのです。ペットは病原菌や感染症を引き起こす原虫などの中間宿主となることがあるのです。

例えば、日本では成人の10%前後がトキソプラズマ症に感染していると言われています。これは猫を介して人間に感染、乳幼児など免疫機能が低下している人では危険な病気です。特に危険なのは妊婦が感染した場合、胎児にも感染してしまう点でしょう。

医師の観点からしてみれば、どんなに愛していてもペットとのキス、ペットに顔を舐めさせるのは厳禁。ペットの排泄物はすぐに処理し、抱っこしたり撫でたりした後は、石鹸でよく手を洗うことが大切です。この点を守っていれば、基本的にはペットとの生活も問題ないはずです。

Pucker Up!

10. 神話「マスクをつけて風邪予防」

海外の人が日本に来て驚くことのひとつが、みんながマスクをつけていること。すでに風邪をひいていて、他人にうつさないようにするエチケットとしてはマスクは効果的ですが、予防のための効果は期待できません。

風邪のウイルスはマスクの網目よりもずっと小さく、ウイルス自体の侵入をマスクで防ぐことはできません。しかし、ウイルスを含んだ水分の「飛沫」はマスクに引っかかるので、感染した本人が飛沫を飛ばさないためには有効なのです。

風邪予防に一番効果があるのは、なんと言っても手洗い。外出先で口や目を手で触らないようにすることも重要です。

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抗菌、除菌、殺菌などと謳った商品はあふれていますが、こうした商品を使い続けることによって人にとって重要な働きをしている常在菌も殺してしまうということを覚えておきましょう。一番大切なのは、石鹸で手を洗うこと。健康的な生活を送るには、基本に戻る必要がありそうです。