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一人っ子への偏見や先入観は時代遅れ

一人っ子は何かと兄弟姉妹のいる子どもと比較されます。「甘やかされて育ったから自己中心的」「わがままで協調性がない」「親の心配と恐れを一身に受けるために神経質」などネガティブなイメージで語られます。特に気性が激しく我が強い子は「一人っ子だから」と言われがち。また、一人っ子の親は「一人っ子はかわいそう」と言われることも多いようです。

Dress Up

しかし、さまざまな国の研究から、こうした偏見や先入観はナンセンスだということがわかっています。なにより、性格というものは、生活スタイルや社会的な環境、親との関係、そして何よりもその子の元から持っている資質によって決まり、兄弟の有無はほとんど影響を与えないという点を心に留めておくべきです。

The Terrible Twos

それでも、兄弟児と一人っ子のデータを統計的に比較した研究では、大きな傾向として次のような結果が認められました。先入観を打ち砕く結果に驚くかもしれません。

1. 親との絆が強い

一人っ子は親に自分の考えを聞いてもらえる機会が多く、親とよい関係を築きやすい傾向があります。親を喜ばせたいという気持ちから学校で勉強を頑張る子が多いようです。また親と1対1で向き合うことができるため、家庭内で問題が起きてもスムーズに解決することが多いようです。

ひとり親家庭には一人っ子が多いこともあり、兄弟姉妹がいる子どもよりも母親や父親を助けなければという強い責任感を持っていることが多いようです。

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2. 友情に厚い

一人っ子は、誰かと一緒に遊びたいときは自分から積極的にアプローチしなければなりません。いつでも近くに話し相手や遊び相手がいる兄弟姉妹のいる子とは、その点が大きく違います。ですから友人ができれば、相手の気持ちに寄り添い、大切にしようとするようです。統計から、一人っ子は大人になっても親しい友人関係を維持しようとする傾向が強いことがわかっています。

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3. 音楽や知的な探求を好む

兄弟のいない子は、ひとりで時間を使うことに慣れています。また、自分の時間を自由に使えるため、好きなことに打ち込む喜びを味わいやすいのです。そのため、一人っ子は音楽を演奏したり、パズルなどの知的な探求をしたりする傾向があります。一方、兄弟姉妹がいる場合は、グループ活動やチームスポーツが居心地よく感じる傾向があるようです。

Young Scientist

4. 職人気質

一人っ子は興味のあることに没頭します。兄弟姉妹がいれば「お兄ちゃんもやっているから」など影響を受けることも多いのですが、一人っ子は自分の判断で好きなことを決めて育ちます。自分自身が何を望んでいるかを小さい頃から見極めているのです。そのため、研究によれば、一人っ子は大人になってから自分の能力を研ぎ澄ましていくような職業につくことが多いということが分かっています。

5. 自立している

一人っ子は大人に囲まれて手をかけられて育つため、大抵のことは自分でできるようになり、自立しています。また、親からしっかりと躾をうけているため、ルールや規律を守ろうとする傾向があり、学級委員長などに選ばれることも多く、職場ではリーダーシップを発揮する傾向があります。

I wanna be elected!

6. 大人びた話し方をする

兄弟のいない子は、大人と話す機会が自然と多くなります。ですから、周りの大人たちの真似をして、年齢よりも大人びた話し方をする傾向があります。生意気な話し方と聞こえるかもしれません。でも子ども同士の付き合いが増えれば、子どもらしく話すようになります。

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7. 頭がいい

知能は無数の要因に左右されます。幼児期の親との絆、そして親から受ける教育サポートもそうした要因に含まれます。研究によると、一人っ子は兄弟がいる子よりも抱きしめられることが多く、自分の才能に関するフィードバックや励ましも多く得られます。そのためか、全体的な傾向として、知能検査では一人っ子の方が兄弟姉妹のいる子よりもわずかに成績が良いことが分かっています。

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8. とはいえ、性格は十人十色

上記のような特徴があるからと言って、一人っ子か兄弟姉妹がいるかを判断することはできません。どの特徴も、一人っ子にも兄弟姉妹のいる子にも見られる特徴であり、ここに記載した研究結果はあくまでも統計的な傾向にすぎないのです。

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当然ながら、一人っ子は「わがまま」「かわいそう」といったネガティブな決まり文句には科学的な根拠はありません。ですから、「一人っ子じゃかわいそう」などという時代遅れの言葉をかけられても、親はまったく気にする必要はないのです。子どもの発達はさまざまな要因が絡み合った複雑なプロセスです。一つの要因で決まることなどないのです。

それにしても一人っ子へのこの根深い偏見はどこから来るのでしょう。歴史を振り返れば、一人っ子に対する批判は古くからあり、軍隊や年金基金などを維持するため、できるだけ多くの子どもを持つべきだという社会的、政治的イデオロギーに結びついていることが多いようです。そのような思惑をもって、人の悪い側面が「一人っ子」という枠組みで語られてきたため、偏見や先入観が根付いてしまったのかもしれません。