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ペットボトルの水は美味しい水?考えさせられる不都合な真実

外出中にのどが渇き、「今すぐ水が飲みたい」と思ったとき、コンビニなどで手ごろなサイズのペットボトルの水を買いにいくと思います。なぜペットボトルの水か?と聞かれれば、単にほかの選択肢がないからですよね。実際にペットボトルは便利です。ランニングに行くときでも旅行に行くときでも、とにかく持ち運びが楽です。

ところが最近、 Storyofstuffという団体が公開した、この便利なペットボトルに関する 啓発ビデオ が話題になっています。この動画では私たちの生活に関連するペットボトルの影響についてわかりやすく紹介されています。

instagram/nameer_khn

水を飲むのに便利なペットボトル。そんなペットボトルを店頭以外でよく目にするシチュエーションといえば、例えば海岸でしょう。どこからか流れ着いたペットボトルなどのプラスチックのゴミを目にしたことがあると思います。こういったゴミを誤って食べてしまう動物への影響は、深刻な環境問題となっています。

instagram/thinkhempythoughts

そもそも、私たちはなぜペットボトルを使って水を飲むのでしょうか?プラスチックは元々石油から作られており、これ自体が体に良くない影響を与えるという事実は今やだれもが知っていると思います。

アメリカのデトロイトで行われたある調査によれば、2ドル(約220円)もする高い水のペットボトルの中身と水道水とを比較したとき、ペットボトルの水は水道水よりもはるかに品質が劣るだけでなく、味もペットボトルのほうが悪かったという結果が報告されています。では一体なぜ、多くの人がペットボトルの水を求め続けるのでしょうか?

flickr/David J

飲料水の販売業者は現在、水道水のおよそ2000倍の価格でミネラルウォーターを販売しています。これが例えばサンドイッチだったとして、プラスチックのケースに入っているというだけで100万円の値段がつけられていたとしたら、一体誰が買うでしょうか?

皆さんもご存知の通り、現在ミネラルウォーターの販売で利益を上げているコカ・コーラなどの企業は、以前はコーラやジュースなどソフトドリンクの販売が主なビジネスでした。ところが、ジュースなどの飲み物が体に良くないという世論が広まるにつれ、人々は飲み水などを確保する際は水道水を使用するという形に回帰していきました。これに対抗すべく企業が打ち出したのが、水をボトルに詰めて売るという商売だったのです。

ペットボトルの水が売られ始めたころ、人々は笑い飛ばすだけでした。彼らにとってはまるで空気を詰めた瓶を売っているのと大して変わらない感覚だったのでしょう。そこで企業は需要を人工的に作り出していったのです。

彼らは広告の中で、水道水がいかに危険なもので直接飲むのは控えておいたほうが良いというイメージを作り上げ、その代わりに自分たちが販売する水のペットボトルにカラフルな山の絵などを載せたラベルを貼っていったのです。

instagram/damavandwaters

そういった自然が描かれたラベルは、自然で健康によい水という印象を与えます。ところが実際に行っているのは、多くの場合、単に水道水をペットボトルに移し替えるだけなのです。よく考えてみれば実にばかばかしい話ですね。

さらに、環境問題においてプラスチックが深刻な脅威となっているという点も忘れてはいけません。プラスチックはその性質上、自然に分解されることがないのです。問題はペットボトルの生産段階から始まっていて、ペットボトルを作るために必要な石油は、自動車を製造する際に必要とされる量とほぼ同じだと言われています。

instagram/detroitenglish

もう一つは、ペットボトルの廃棄の問題です。多くのペットボトルにはリサイクルマークがついているにもかかわらず、世界では、そのほとんどがリサイクルされないまま廃棄されているのが現状です。

flickr/Jesse Wagstaff

リサイクルされずに、ゴミとして処理されるペットボトルは、全体の80%にも上るといわれています。これらの廃棄されたペットボトルは、1000年近くも自然の中で分解されないまま残るそうです。

それではリサイクル処理すれば何の問題もないのかというと、そういうわけでもありません。リサイクル処理の結果集められたペットボトルの多くは、船で遠い国へ運ばれ、現地で結局ごみとして捨てられているだそうです。

また、きちんとリサイクル処理がされたとしても、そこで実際に行われているのは「リサイクル」ではなく「ダウンサイクル」です。すなわち、元のペットボトルに戻るのではなく、より品質の低い工業品の材料となるわけです。そしてこれらはいずれゴミになり、大半が結果的に土中に埋められたり、焼却処分されるのです。日本では、リサイクルされたペットボトルは大半が包装用シートとして一回使用されるだけで再投棄されてしまっています。

Youtube / storyofstuffproject

水をペットボトルで買う消費者は、水道水に対する恐怖、ブランドイメージによる誘惑、そして企業からの間違った情報という3つのワナにはまっていると言えるでしょう。そしてミネラルウォーター業界の最大の敵となってしまった水道水は、今や誰も目を留めない存在になっています。

しかし、ミネラルウォーターを販売する多くの企業の工場の中では、まさにその水道水がペットボトルに詰められているというのが現実です。私たちは今、このような業界に対して声を上げていくべきではないでしょうか。Storyofstuffによるこのビデオには、私たちが考えなければならないことがたくさん込められています。(字幕をオンに設定してご覧ください)

これからペットボトルの水を買う際に、もう一度よく考えてみてください。

flickr/Steven Depolo