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アルツハイマー予防の鍵は口の中にあり!

この病気はゆっくりと静かに忍び寄ります。鍵が見当たらず、探しに来たはずの部屋に入った途端、なぜ部屋に来たのか忘れてしまう…。ゆっくりと記憶も消えていきます。日課や身支度の仕方、食事の仕方、周囲の人のことも忘れて、言いようのない孤独に苛まれ、言葉も忘れていきます。

認知症の6〜7割の人がアルツハイマー病と診断されており、日本のアルツハイマー病推定患者数は100万人。増え続けている病気ですが、原因が未だ解明されておらず治療は困難となっています。

Saying farewell to Nana after 88th birthday cookies

アルツハイマーになると

アルツハイマー病になると脳が変性します。神経細胞間にタンパク質が異常に蓄積し、正常に機能しなくなっていきます。脳神経が損傷したり神経伝達物質が減少したりして脳の全体が萎縮していきます。

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アルツハイマーの原因

ではアルツハイマー病を引き起こす要因はというと、まだはっきりわかっていません。若年で発症する場合、近親者にアルツハイマー病がみられることが多いとされています。しかしそれでもアルツハイマー病患者で遺伝性だと認められるのは1%ほど。一方、高血圧、糖尿病、心疾患や肥満などとの関連性も指摘されており、複数の因子がアルツハイマー病の発症に影響していると考えられています。

そのうちあまり知られていない原因は、口の中に存在することが最近の研究でわかっています。

Yes, it is still 'me'

歯茎の炎症はアルツハイマーのリスクを高める!?

今年の初め発表された研究によると、不衛生な口腔環境はアルツハイマー病の原因となるということが多いそうです。認知症予防に歯を磨くなんて不思議ですが、実は何年も前から口腔環境と認知症の関係性は疑われてきました。

歯周病の原因菌の一種ポルフィロモナス・ジンジバリス菌は、90%のアルツハイマー病患者の脳で検出されました。健康な人の場合は20%で、菌の数もそれほど多くありませんでした。

歯周病菌は歯茎から血中に侵入し、血液を通して脳に伝わったとみられています。脳と血液の間の物質交換を制限する機構である血液脳関門を破って脳に侵入する菌は、他にはライム病や梅毒の原因菌などがあります。

マウスを使った実験では、歯周病菌は脳に炎症を引き起こし、この炎症によってアルツハイマー病に典型的なタンパク質の蓄積を促すということがわかっています。

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アルツハイマー病と歯周病の因果関係

アルツハイマー病に苦しむ多くの人は、口腔内の問題を抱えています。歯周病は高齢者にはよく見られる病気で、入れ歯になってお手入れ回数が減る人が多いためさらに歯周病のリスクが高まります。でもこの傾向は認知症の人に特に強くみられます。さらに脳神経学者のロバート・モーア博士は、認知症患者の血液脳関門は、健康な人よりも簡単に物質を脳実質に透過させてしまうということを指摘しています。

この2つの要素どちらも、アルツハイマー病患者の脳に多くの歯周病菌がいる状態を作り出します。しかし研究チームは、「因果関係を裏付ける証拠としては不十分で、今後更なる研究が必要だ」としています。

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研究では歯周病菌ポルフィロモナス・ジンジバリス菌が生産する毒性酵素「ジンジパイン」も脳内で発見され、この毒性酵素の働きを阻害することで、脳内でのタンパク質の蓄積を妨ぐことが可能だということもわかっています。歯周病菌とアルツハイマー病の関連性は、今新しい治療への道を開くとして大きな注目を浴びていることは間違いありません。

もちろんアルツハイマー病の原因は複数の要因が絡んでいます。でも今日から、歯周病にならないように歯磨きとデンタルフロスを丁寧に行った方が良さそうですね。もちろん定期的な歯医者さんでのクリーニングもお忘れなく!