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Lifehacks

アボカドの大流行に専門家が眉をひそめる5つの理由

ヘルシーな食材として世界中で大人気のアボカド。日本の食卓でもすっかり定番になり、日本での消費量はこの10年でなんと3倍以上とうなぎのぼり。「森のバター」とも「食べる美容液」とも言われ、こっくりおいしいだけでなく、不飽和脂肪酸、良質なタンパク質、各種ビタミン、ミネラルを豊富に含むスーパーフードです。

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メキシコ料理やサラダだけでなく、日本ではマグロに似た味だということで、わさび醤油で食べたり、寿司の具材としても人気ですね。

アボカドの人気の秘密は、美味しくヘルシーなことだけにとどまりません。淡い緑色で「インスタ映え」するおしゃれな食材としても大人気。これほど頻繁にSNSに投稿されている食材は他にないかもしれません。

Woman holds avocado and avocado seeds

このように、もし「スーパーフード」選手権があれば間違いなく表彰台にのぼるアボカドですが、今、いくつかの点が世界中で問題視されているのをご存知ですか?栄養学的な問題ではありません。環境破壊や倫理的な問題です。

1. 森林破壊

世界的なアボカドブームに乗じて、アボカドの最大の輸出国メキシコでは、アボカドの栽培面積を拡大するために森林が急速に破壊されていると環境団体が警鐘を鳴らしています。報告によると、アボカド農園拡大により、大型動物の生息地が失われただけでなく、多くの昆虫が犠牲になっているといいます。

Oil palm: pest, Rhinoceros beetles

2. 干ばつ

アボカドの栽培には大量の水が必要です。ジャガイモと比べると必要な水の量は8倍。そのため、特に乾燥地帯では、アボカド栽培により地下水位が低下し、周辺地域が砂漠化しつつあるということです。

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3. 農薬

アボカド栽培で使用される農薬が、生産地で深刻な健康問題を引き起こしています。特に灌漑設備が整っていない地域では、農薬や肥料の化学物質が飲料水を汚染しています。メキシコなどの保健当局は、農薬によると考えられるホルモン不均衡やガンなどの深刻な健康被害について警告しています。

4. CO2排出

アボカドは主に中南米の温暖で湿度の高い熱帯林で栽培されています。世界各地で人気が高まっていますが、日本やヨーロッパなどに運ぶためには冷蔵設備のある船で長い距離を輸送しなければなりません。この長距離輸送で多大なCO2を空気中に排出することになります。

Want Free Air Pollution City - Mahe Karim Photography

5. アボカドマフィア

メキシコでは、世界的に需要が高まっているアボカドに麻薬犯罪組織が目をつけ、アボカド市場の支配を目論んでいると報道されています。アボカド農家たちはマフィアの支配下に入るよう脅され、要求に従わない場合は殺害や誘拐なども起きているとか。アボカドを「メキシコの血にまみれたダイヤモンド」と呼ぶ人がいるほどです。

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では、アボカドはもう食べない?

アボカドを食べるたびに遠い中南米の環境破壊や、社会に悪影響を及ぼしていることに罪悪感を持つべきなのでしょうか?そして、アボカドを食べるのは控えるべきなのでしょうか?一概にそうだとは言い切れません。色々な観点から、私たち消費者にできることを考えてみましょう。

  • まず、水の使用量について。アボカドは他の野菜と比べると確かに水を大量に必要とします。でも、他のタンパク質や脂肪の供給源と比較してみましょう。アボカド1kgを栽培するのに、水が1,000リットル必要なのに対し、卵は3,300リットル/kg、バターは5,000リットル/kg、牛肉は15,500リットル/kg必要です。
  • 二酸化炭素排出量で考えても、アボカドは卵(4倍)、肉(16倍)、バター(20倍)に比べればCO2排出量は少ないと言えます。
  • 近年、中南米以外のアボカド産地の割合が増えています。日本でも、主に温暖な西日本で栽培される国産アボカドが徐々に市場に出回り始めています。アボカドの表示には産地が記載されているので、国産品や比較的日本に近い産地を選ぶことで、長い輸送による環境への影響を減らすことに貢献できます。
  • 栽培による環境への影響については、水の消費量や持続可能性の観点から、基準を満たした製品だけが受けることができる認証を確認することができます。有機農業が主流のケニアでアボカド栽培が盛んになりつつあるなど、有機栽培のアボカドも増えています。
  • 最後に、アボカドは皮に守られているため、果実内の残留農薬は他の果物や野菜に比べて非常に少なく、消費者にとっては安全な食べ物です。

Avocados

もちろん、地元で採れた果物と野菜を選ぶことは、環境やエコロジーの観点からは常にベストな選択です。でも、アボカドを食べることで、卵、バター、肉などの動物性食品の摂取を制限するのであれば、いたずらに罪悪感を持つ必要はないでしょう。オーガニックやフェアトレードの認証を受けたものや、あまり遠くない国の製品に目を向けることも検討してください。

プレビュー画像:©︎flickr/Stock Catalog, ©︎flickr/Lian Pin Koh