近年の発見:普段から「罵り言葉」を使う3つの利点

罵り言葉や放送禁止用語を耳にするのはあまり気持ちの良いものではありません。こうした言葉自体が攻撃的ですし、話し手が十分な語彙を持たないためこうした強い言葉でしか表現できないのだと捉えられがちです。 公共の場で罵り言葉が口を衝いて出る人ほど、思慮に欠け知性がない人など思われるかもしれません。しかし、日本語に比べ罵り言葉の数とバラエティに富む英語圏では、この認識を見直す必要があることが近年の研究で明らかになっています。

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1. 知性の証拠

ニューヨーク州のマリスト大学の心理学者によって行われた研究によれば、罵り言葉を「流暢に」話す人ほど英語に長けているということがわかっています。実験では、話し言葉の流暢さに焦点を当てたものと、罵り言葉の流暢さに焦点を当てたもの、2種類の言語テストが実施されました。実験参加者は、ある特定のアルファベットで始まる単語を1分間で思いつくだけ提示していきます。すると、罵り言葉の流暢さのテストで高得点を記録した人ほど、会話の流暢さに焦点を当てたテストでも高得点を記録したことがわかりました。一方、話し言葉の流暢さのテストで低得点だった参加者は、罵り言葉のテストでも低得点でした。

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この研究では、英語圏に限って言えば、冒涜的な言葉を多用するからといって知性に欠けるという訳ではないことを示しています。むしろ、これは微妙なニュアンスを様々な単語で表現することができる話者の言語的特徴だと言えることがわかりました。

2. 自然な痛み止め作用

イギリスのキール大学の心理学者であるリチャード・ステファンス博士の研究は、罵り言葉は痛みに対する耐性を高めることを示しています。研究チームは、66名の実験参加者に氷水の中に手を入れるよう指示しました。冷たさによる痛みに似た刺激を抑制しようとする初期反応を示す期間、まず参加者には罵り言葉を繰り返してもらいました。次にこの参加者に同様のテストを再び実施し、このときは一般的な罵り言葉ではない言葉を繰り返してもらいました。

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この実験では、参加者は罵り言葉を繰り返していた時の方が長時間冷たさに耐えたということがわかりました。さらに、参加者たちは罵り言葉を繰り返していた時の方が冷たく感じなかったと評価しています。ステファンス博士によると、一回目の実験の際の方が参加者の心拍が早まったことから、罵り言葉は闘争・逃走反応(急性ストレス反応、または『火事場の馬鹿力』とも言われる)を引き起こし、攻撃性を高めると結論づけています。

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3. 強くなったように感じる

ステファンス博士はさらに新しい実験を実施しました。この実験では、19歳から21歳の参加者を2つのグループに分け、30秒自転車を漕いだのち、10秒間の握力テストをするよう指示。前回の実験と同様に、一方のグループは罵り言葉を、もう一方では一般的な言葉のみを使うよう指示しました。

この実験では、罵り言葉を連呼した参加者は、自転車を漕いだ際の最大出力は平均値よりも24ワット上昇し、圧力は約2kgも高まったことがわかりました。

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参加者が実験中に叫んだり怒鳴ったりしたことで力が出たのではないかと思う方もいるかもしれません。ところがその点は実験結果になんら影響は及ぼしていないと言っていいようです。実験参加者は、罵り言葉を穏やかに繰り返していただけなのです。ではパフォーマンスが向上した理由はなんなのでしょう?「罵り言葉が肉体的強さや痛みへの耐性に与える影響はまだ研究の途上ではっきりとはわかっていません」ステファンス博士は英紙ザ・ガーディアンのインタビューに答えています。

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英語圏ではこうした研究が罵り言葉に対する認識を変えるものとして注目されています。罵り言葉や冒涜的な言葉は、会話の相手を攻撃するという意図で使うばかりではなく、話者本人のやる気を高めるために自然と使っているのかもしれません。日常生活では罵り言葉をほとんどと言っていいほど使わない私たち日本人にとっては不思議な世界ですね。

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