世界中の医師たちが興味津々の新しいタトゥー。皮膚に彫ることで、命を救うことができるかもしれない。

国際糖尿病連合(IDF)の発表によると、世界の糖尿病(1型糖尿病、2型糖尿病)人口は爆発的に増え続けており、2015年で糖尿病有病者数は4億1,500万人に上り、有効な対策を施さなければ2040年までに6億4,000万人を超えると予測されています。 日本でも成人の患者数は700万人を超え、日本は糖尿病の世界ランキングの9位に位置しています。

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糖尿病患者は、インスリン投与が必要なタイミングを判断するために血糖値を測定する際、腕や指などの皮膚に針を刺して採血する必要があります。近年ではいくつかのテクノロジー企業が新しい治療法に加え、針を刺しての血液を採取をしなくてすむようになる血糖値監視製品のの開発に取り組んでいます。

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そんな中、米マサチューセッツ工科大学(MIT)メディア・ラボとハーバード大学医学大学院の研究チームが、共同で取り組んでいる「バイオセンサー」の開発プロジェクトが注目されています。最新のバイオテクノロジーとタトゥーの技法を融合した「ダーマル・アビス(DermalAbyss)」は、肌に彫られたタトゥーの色の変化を通して血中のブドウ糖レベルやPH、その他体内の代謝の状態を計測することができ、健康状態のバロメーターとなる仕組みだそうです。

このバイオセンサーは血管と細胞との空間を満たす「間質液」の変動によって色が変わり、タトゥーインクの代わりに使うことができ、現在までに紫色からピンクに変化するpH値センサーや、青から茶に変わる血糖値センサー、蛍光の強度が変化するナトリウム値センサーなどが研究されています。糖尿病患者の場合は、タトゥーの色をみるだけで血糖値レベルがわかるため、皮膚に針を刺して採血する必要がなくなる、というわけです。

革命的なテクノロジーとして話題を呼んでいるものの、現時点では製品化に向けた開発や臨床実験をすすめる計画は今のところはないそうです。しかし、すでに人間も近いとされるブタの皮膚での実験が行われ、成功を収めています。

MITメディア・ラボのシン・リュウ氏は、アレルギー反応や長期的な機能の持続性などにについての研究が依然必要であることを強調しつつ、ダーマル・アビスの可能性について次のようにコメントしています。

「製品化するまでには長い時間がかかりますが、これは大きな可能性を持っていると思います。すでに糖尿病を抱える人から『試してみたい』というメールを多数いただいています」

ダーマル・アビスはタトゥーインクのように使うことができるため、自分の好みのデザインを選ぶことも可能になります。体内に埋め込むことができるデバイスは、健康バロメーターとしてだけでなく、ファッションアイテムとしても今後注目を集めていくかもしれません。これからの進化が楽しみですね。

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